2021年7月29日木曜日

冷房(エアコン)ブロアモーターの交換の巻 ブルーテックキャンター

冷房ネタが多いですが、今回はブルーテックキャンターのブロアモーター交換です。


そろそろ ”ブルーテックキャンター” と紹介しなくていいかもしれませんね。

症状としては風量ダイヤルを最大にしても弱い風しか出てこず、時々無風になる事もあったそうです。
点検したところやはり弱い風しか出てきませんが、エアコンの操作パネルの下側をたたいてやると風が強くなります。ちょうどヒーター(エアコン)ユニットのあたりですね。

ブロアモーターのブラシが減っているのは間違い無さそうなので部品をオーダーし、作業に備え部品構成図を取り寄せました。

ちなみに風量全開で調節が効かない場合はブロアレジスターがあやしいです。



作業の様子です。

まずはパネルを外しヒーターユニットにアクセスします。


この辺までは説明はいらないでしょう


目指すブロアモーターです。

手前にあるジャンクションボックスは邪魔になるので外してあります。



モーターの取り付けはビス3本で留まっているだけですが、手前にも横にも引きずり出すスペースがありません。大掛かりにバラさなくて済むよう簡単な方法を探ります。

そこでチェンジレバーのセレクト側のロッドを外し、モーターが出る通り道を確保してやりました。


外れたモーターAssyと新品です。シャシナンバーでオーダーしているので間違いはないのですが、一応比べて確認します。

モーターを取り付け、配線をつないだところで作動の確認をし、あとは逆の手順で収めて完成になりました。


この車に関しては決まったドライバーが専属(担当車)で乗っており、このドライバーさん熱がりの為、いつもクーラー全開にして運転してたそうです。そのせいで他の車より早くブロアモーターがイカレたのでしょう。

今回のブルーテックは初めて作業しましたが、FE70系(先代ジェネレーションキャンター)よりは作業性を考慮したレイアウトになっていると思いました。興味があればこちらも参照してください。

2021年7月27日火曜日

エンジンチェックアラームの対応 ブルーテックキャンター

キャンターといえば頻繁にエンジンチェックアラーム(以下チェックランプ)が点灯するイメージですが、今回の車も出先でチェックランプが3つ点灯し、帰庫途中で営業所近くのいつもお世話になっている修理工場にて点検してもらいました。

主な内容は ”Noxセンサー” ”ラムダセンサー(O2センサー)”というエラーです。いつもはエラーリセットしてもらって様子を見るのが常ですが、今回はエラーを拾っているセンサーを外して状態を確認してみました。


まずはNoxセンサーです。

位置は写真のとおり、SCRの後ろ側にあります。最終的に浄化された排気ガス中のNox量を検知するセンサーですね。


外れたNoxセンサーです。

参考までに、外してみるだけならハーネスクランプ・コネクターを外さなくても確認は出来ます。


拡大してみました。

当然ですが期待するほど汚れていません。むしろきれいです。

本来各センサー類は清掃不可ですが、パーツクリーナーで穴の中めがけたっぷり吹きかけました。


次はラムダセンサーです。こちらはエキマニを出てすぐ、エキゾーストシャッターの出口側にあります。

ちなみにエキゾーストシャッターは排気ブレーキ作動時のみならず、DPF自動再生中ほか常に作動していますので、こちらもDPF関係の不具合に絡んでくる個所だそうです。


外れました。


カーボンがびっしり付着しています。

生の排気ガスを直接浴びる場所ですので汚れやすい場所なのかもしれません。言うまでもありませんがこれも清掃不可です。しかし簡単に確認は出来ますので気休めに清掃してみるのも一つの方法かと。


こちらもパーツクリーナーの噴射圧でカーボンを飛ばしてやりました。


どうでしょうか?
見た目はきれいになりましたが、サービスデータが無いのでこれ以上の事はできません。

再度チェックランプが点灯すれば今度は該当部品の交換になります。それまではしばらく泳がせて(運行させて)様子を見る事にします。

うちでもスキャナーがあればライブデータが確認できるのに・・・と、夢みたいな事をいつも思っています(笑い)



 

2021年7月25日日曜日

パワーゲート操作不良の点検・修理 新明和すいちょくゲート

配車係さんより、「ゲートバン号が出先でパワーゲートが動かないみたいだけどどうしたらいいですか?」との連絡をもらい、私もドライバーさんに様子を訊いてフューズ切れの確認をしてもらいましたが、フューズ切れは無く復帰しない様子です。荷下ろし前でしたがその場ではどうしようもないので、何とかやりくりしてもらい入庫後に点検しました。


先ずは電源回路の断線を疑ってみます。

パワーゲート他、架装設備の配線は大体、車両の既存回路とは別回路になっている事が多く、配線を追いかけるのは比較的容易です。

この車は新明和の”すいちょくゲート”と呼ばれるタイプが付いており、ゲートの作動は油圧モーターで上下のみ作動させるシンプルな構造になっています。ゲートの格納はそれこそパワー(手動)で閉める為、いちいち開閉するにはちょっと面倒な車ではあります。


大元のフューズはバッテリーボックスの上についてます。大元と言ったのは、実はこの車、配線図にはない隠しフューズがあったのです。


メーンの175Aと制御回路用15Aフューズですが、いずれもフューズ切れはありません。
逆にメーンのフューズが飛んでいたら、ちょっと怖いものがありますが・・・



車内側にあるパワーゲートのメーンスイッチです。キャンターは運転席に座って右ひざ前にありますが、スイッチパネルを外すと奥に ” 隠しフューズブロック ” があり、そのうちのひとつがゲートのフューズになります。



ディーラー工場に聞いてもわからなかった隠しフューズです。ゲートは7.5Aフューズですのでもしゲートが動かなかったら、真っ先にこのフューズを確認するのが簡単だと思われます。
とりあえずフューズ切れはなかったので、ゲートリモコンスイッチケーブルの断線(これがゲートで挟んでよく断線するところです)等点検・確認しましたが断線もありません。



結論から言うとメーンスイッチの導通不良とわかりました。

ディーラーに部品を問い合わせると納期未定との事でしたが、とりあえずスイッチに刺さるカプラ部分で直結にして運用させれば問題ありません。ちなみにこの回路はアクセサリー・イグニッションで電源が来るので直結でも不自由はないのですが、やはり安全の為修理する事になります。


外したスイッチです。これならロッカスイッチなら何でもよさそうですが、原因追及の為バラして見ました。


1回路2接点の一般的なロッカスイッチです。付いているLEDはスイッチON時に点灯するパイロットランプです。



拡大して見ました。なにやら接点に汚れと異物が挟まってますが、これが直接の原因と思われます。しかしこの汚れ、どこから来たのでしょうか?


ペーパーで接点を磨いてやりました。普段頻繁に入切するスイッチではないのでスパーク痕もなく接点はきれいなものです。組上げには接点グリスを少量塗って元どおりに収めました。

車両へ取り付け作動の確認をした後完成となりました。


原因が分かってしまえば何という事も無いのですが、ここにたどり着くにはやはり経験の積み重ねが大事になってきますね。

私は前職バスの整備士をしておりまして、バスに限らず車が故障するとお客様に直接迷惑が掛かります。そこでなぜ故障したのか?故障原因を追及して同じ故障を防ぎたいとの思いで整備をしておりますので、部品の交換だけでは終わらないのです。


なーんちゃって









 

2021年7月22日木曜日

燃料パイプの交換 ブルーテックキャンター

トラックのユーザーさんはおそらく廃車まで交換する事は無いでしょう。今回はそんな経験した事のない修理のお話です。

実はこの車、先日出張中燃料漏れで路上故障して、出先のディーラー工場にて中古部品にて交換修理してもらった車です。中古部品だったのは、通常このような部品はどこも在庫部品として持っていないので大体メーカー取り寄せになってしまいますが、ラッキーな事に4P10のエンジンが下りている車から外して対応してもらいました。(中国ふそうさんありがとうございました)


後日、手配した部品が届きましたので早速交換作業に取り掛かりました。

燃料パイプは写真の矢印のところに通っており、ジョイント部分はこのすぐエンジン側になります。トラックの場合、キャビンが起こせますので簡単に作業できそうですが、実はこれが大変手間の掛かる作業になってしまいました。



サプライポンプ側の取り付け部分です。オイルフィルターが邪魔になるので取り外しての作業になりますが、ちょうど整備計画でオイル交換の時期でしたので燃料パイプ交換後にフィルター交換も実施します。



蛇足ですが、4P10(キャンター)のオイルフィルター交換って面倒ですよね。いつまでもフィルターケース内のオイルが抜けきれず無駄に汚してしまいます。



これが交換する燃料パイプです。1本コモンレール側に向かうパイプがありますがこれは外し、車両側のパイプを着けなおします。



目指すジョイント部分ですが非常にやりずらい場所にあります。ちょうどEGRパイプの下側にジョイント(クイックカプラ)があり、ステー止めのボルトも手探りで外す事になります。

鏡でのぞいてみました。


燃料パイプはクイックカプラでジョイントされてますが、これがとにかく固い・・・

場所が悪くリリースのツメがなかなか押しこめずカプラが引き抜けません。逆に簡単に引き抜けても困ってしまいますが。



上からダメなら下から挑戦です。写真では正面に写っていますが腕がやっと届くくらいですので、やはりやりずらい・・・



格闘すること小1時間、軽油まみれになりながらやっと燃料パイプを外す事ができました。

部品は間違い無いのですが、取り付け前に外れたものと見比べて確認します。



破損部品の写真はありませんが、赤の矢印の場所が折れた部分になります。車両への取りつきかたを見ても、エンジンの振動等で無理の掛かる場所では無さそうですが、何故この部分で折れたのでしょうか?

この後元どおりに取り付け、試運転後に燃料漏れが無いか確認しての完成になりました。

ちなみにこの燃料ホースは取扱説明書によると2年での交換が推奨されてますが、普通トラックユーザーの事業所さんは定期的に交換頼みませんよね?私も今回の故障で再度取説を読み返しました。当社の車両はすべて(キャンター)新車から1回も交換していませんので、車齢の古い車から交換する必要がありそうです。
 

2021年7月20日火曜日

ガラスリペアやってみました

高速道路に限らず飛び石を食らうのはしょうがない事ですが、何かやり切れない気持ちになります。それが担当車を任せられているドライバーさんならなおさらです。そうゆう私も過去、高速道路走行中フロントガラスが粉々(まだ強化ガラスの頃)に砕けた経験があります。そんな事で素人が見よう見真似でガラスリペアしてみました。


フロントガラスの左側ですが、ミラーを見るたびに気になってしまうところです。写真では分かりずらいですが、500円玉より一回り大きい“牛目”(bull's eye)状のヒビが入っています。


ガラスリペアの治具をヒビを中心に取り付けます。中央のインジェクターと呼ばれる部分にレジンを注入しヒビに浸透させるイメージです。当日の作業は日中で日差しが強く、レジンもすぐに硬化しそうな環境でしたのでとりあえず日陰をつくり作業を進めていきます。


車内側より

写真のとおり中心から2時~3時の方向に汚れが残ってますが、除去できないのでこのまま”真空引き・注入・浸透”を数回繰り返しました。


どうしてもヒビ周辺部分までレジンが浸透していきません。このくらいが素人修理の限界でしょうか?ヒビ表面にレジンをたらし、透明フィルムを貼り硬化を待ちます。


レジンが硬化したところで、カミソリで表面のレジンを削ぎ落していきます。この際ガラスに傷がつかないよう、やさしく時間をかけて削ぎ落していく作業になります。


初登場 kumayarouの手


完成です。

やはりこのくらいが限界か?それともよい道具を使えばもう少しきれいに仕上がるのでしょうか?




まあパっと見目立たないので、このくらいで勘弁してもらいましょう。



 当社で外注出してるガラス屋さんではリペアが1万円で、2~3回修理すればガラスが入れ替えできる金額になってしまいます。本職の技術料を考えると適正金額だと思いますが、車検前までセルフリペアで粘るのも、会社から財布を預かる修理担当のやりくりに掛かってくるところではあります。

2021年7月19日月曜日

デュトロ冷房点検

梅雨も明け、いきなり35度近くまで気温が上がり冷房の効きが悪いのも当前ですが、今回は”デュトロルートバン”冷房点検のお話です。

この車は決まったドライバーさんが乗る担当車ですが、いきなり冷えなくなったとの事でとりあえず風量と冷え具合を確認しました。点検したのは夕方でしたがまだ暑く、吹出口からは確かに冷たい風が出てきません。サイトグラスで確認すると泡がいつまで経っても消えず、冷媒ガスが少ないか、冷房サイクルに問題がありそうです。

 ちなみにデュトロルートバンのサイトグラスはグリル奥に見る事が出来ます。


冷媒ガスが漏れていないか見られる範囲で点検すると・・・


コンデンサーにオイルで汚れた形跡がありますが、ハンドルボックスのシャフトオイルシールから漏れて飛んだのか、コンデンサーコアから漏って汚れているのかよくわかりません。フィンも半分潰れていましたので冷媒ガスが十分に冷やされない(凝縮出来ない)事も関係ありそうです。



とりあえずマニホールドゲージ(以下ゲージ)をつないで圧力を確認します。



アイドリング状態で低圧1.5キロ、高圧10キロですので明らかにガスが少ないですね


圧力を”キロ”と表現したのは”Mpa”表記が分かりずらく今でもキロ換算で圧力を判断している為です。使用しているゲージも”Mpa”の目盛りがないし、なにより私も古い人間ですので・・・


冷媒ガスはサービス缶での補充になります。これだけ気温が高くてもサービス缶と低圧側がバランスしてしまいガスが入っていきません。こんな時、サービス缶を逆さにして液状のガスを直接注ぎこむ方はいませんよね


サービス缶の圧を上げる為に温めてあげたいのですが、車庫での作業ですので熱湯がありません。

そこで排気ガスの熱でサービス缶を温める暴挙に出ました。昔の先輩方は皆こうしてましたが決して推奨する方法ではありません。今ではガスの回収・ガス量を量って充填できるいい機械がありますが・・・



アイドリング時 Lo 3.5Kg/cm² Hi 21Kg/cm²


レーシング時(2000rpm) Lo 3Kg/cm² Hi 25Kg/cm²

サイトグラスは白濁したままですが、とりあえず冷たい風が出るようになりました。


が、これでは修理完了になりません。

低圧が高いのはおそらくコンデンサーにてガスが十分冷やされず(凝縮されず液状にならない)ガス状の冷媒がエバポレーターに流れ込み十分に気化されない(蒸発)為だと思われます。エキパン(エキスパンションバルブ)が開きっぱなしの為に低圧側が高いのでしょう。

ガス漏れの個所は特定出来てませんがコンデンサーは後に交換しなければならないと思ってますので、部品見積を依頼して本社の決済を仰ぐことになります。

それまで冷え具合がもつことを天気に祈るばかりです。


つづく 

2021年7月12日月曜日

LEDテールランプの検証(中華製)

今回海外通販にて購入したLEDテールランプを検証していましたのでデータ等をお知らせします。実際の車両への取り付けは先にアップしていますので興味のある方は参考にしてください。


先ずは仕様ですが、24V仕様でサイズが幅46センチ・高さ13センチになります。どこかで見たようなデザインですね。ウインカーはつなぐ配線によって3列同時点灯とシーケンシャルタイプが選べます。


点灯テストで流れる電流量を確認しました。

電圧はエンジン稼働時のオルタネータ電圧として28ボルト掛けています。テールライトの下が直流電源で電圧と電流を表示しています。


スモール


ストップ


ウインカー


バック


全灯

 実測データと検証

スモール    80mA (2.24W)

ストップ    770mA (21.56W)

ウインカー 280mA (7.84W)

バック     340mA (9.52W)

全灯      1.39A (38.92W)


今回取り付けた車両は日野4トン車(通称17レンジャー)で球切れ警告が付いています。既存テールランプの球を一つずつ外し確認すると、ウインカーは当然ハイフラになりましたがストップ以外、他のランプでは球切れ警告は点きません。この車両ではストップランプの球切れだけモニターしているようでした。

LEDテールランプをつないでみるとウインカーはやはりハイフラになりましたが、ストップランプの球切れ警告は点きません。これはストップ点灯時の消費電力がLEDと白熱球でほぼ同じ為と思われます。

ウインカーの消費電力(LEDテール)に関しては白熱球(24V/21W)の1/3となっており、残りの2/3(14W)分を別に消費させればよい計算となります。一般的にはハイフラ防止抵抗等を並列に入れますがいろいろ考えた末、既存のテールランプAssyを残しウインカーの回路に割り込ませ、同時に白熱球も点灯させる事によりハイフラにならない電流量を消費させています。


上の写真はハイフラ防止の為だけに既存のテールランプを残しており、ウインカー以外の球は抜いてあります。



参考動画です。見られない方はこちらからどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=yv4DFmn1QlM


いかがでしょうか?

あとは耐久性の問題ですが機会があったらまたレポートしてみます。価格も安く昼間でも視認性は良いので、商品の到着まで待てるのならば海外通販での購入も”あり”かと思います。