2022年12月5日月曜日

ウインカーの球切れと思ったら違っていた 黒帯キャンター

もう12月になってしまいました・・・

野良整備するには寒くて厳しい季節になってきましたが、日暮れも早く配送後に車両点検整備するには限界があります。

そんな中でも今回はフロントウインカーが点滅しない故障についてのお話です。


現行キャンターはヘッドランプがLED仕様になり ウインカーもヘッドランプ一体となりました。そのためウインカーの球交換が簡単には出来なくなっています。

まずはユニット脇のパネルを外しウインカーのソケットにアクセスしますが・・・


ソケットを緩めても取り外すことが出来ません


そこでユニット取り付けビスを何カ所か緩めすきまをつくり やっとソケットを取り外すことが出来ました。


じつは取説によると、ウインカー球交換時には ヘッドランプユニットを外して球交換するように載ってました。

ウインカー球交換だけでここまでバラさなければ出来ないとは・・・

修理屋さんにお願いしたら結構な工賃取られそうですね


で、ここからが本題です

写真では明るく写っていますが もう日暮れ時の薄暗い時間での作業でした。

一応元に戻す前に点灯確認するもウインカーが点灯しません!


何個か別の球に入れ替えても点かないので どうしたものかと考えていたところ、ソケットの一部が焦げてるのを発見しました。


スマホの灯りを頼りにユニット側の接点を見ると 穴が開いています。これが原因で導通不良をおこしていたようです。


その場では接点がしっかり接触するよう曲げ直して接点を清掃し 点灯確認し、元どおりに収めて応急修理の完成となりました。

ヘッドランプユニットはクレーム対応にて 後日新品と交換しました。


考察

外れたソケットを観察してみるとスパークして焦げた跡があります


ユニット側の接点には穴があいているのと、周辺が焼損しているのがわかります。

ウインカーが点滅するたびに大電流が流れスパークしていたのかも知れませんね。


 もともと接点の接触があまかったのか 使用過程で接点に隙間が生じたのかはわかりませんが、メーカー保証期間内にこのような症状が発見できて良かったと思っています。

このヘッドランプユニット、結構値段高いらしいですよ

2022年10月23日日曜日

フロントサスペンションのガタ点検 ジェネレーションキャンター

いきなり動画からです




車種はジェネレーションキャンター(ブルーテックの前)ですが、最近見かける事も少なくなってきましたね。この車はもう廃車になりましたが、現行モデルの独立サスペンションにも共通した部分があると思いますので参考に上げてみました。


こちらにタイヤを外す前の動画を貼っておきますのでご参考にどうぞ

https://www.youtube.com/watch?v=0Ja3pUhOXOA&ab

 

2022年10月16日日曜日

バッテリーあがりの前兆 キャンター

 先日バッテリーあがりにて交換作業をしましたが、今思えばちょっと気になる前兆がありましたのでご紹介します。


今回バッテリーあがりにて交換した車両の担当ドライバーからある報告が・・・

時計が度々リセットされて点滅してるんだけど直してほしい

とか

私 (kumayarou) はオイル交換実施後に必ずトリップメーターBをリセット(後述)していますが、点検時等メーターを確認するとトリップA・Bともにリセットされ再カウントスタートになっていた事があった 等々・・・

一時的にバッテリー電圧が下がった(ハザード他 エンジン停止中の電源使用)か、エンジン始動時に大電流が流れ(セルモーター不良もあり?)時計・メーターがリセットされてしまった可能性が考えられます。

オルタネータ不良によるノーチャージもありますが、上記の状態を確認したら バッテリー不良を疑ってみるのが必要だと改めて思ったところです





私がトリップメーターBをリセットする理由

当社ではオイル交換時期を5000Kmと定めております。

私がオイル交換時にメーターリセットする理由は点検時にオイル交換後の走行距離を確認する為で、運行日報では次回の交換距離を追いきれない場合があり その都度目安にしております。

今後 バッテリー劣化の判断材料にもなりそうですね

バッテリー不良(バッテリーあがり)によるエンジン始動不良 キャンター

私も常用便(固定のお客様向け配車)にしばらく行く事になり整備管理業務もままならない状態になっておりますが、そんななかでもドライバーさんからの問い合わせは尽きません。

ある朝ドライバーさんから電話があり 車庫でエンジンが掛からないと連絡を受けましたが、私も出先なので対応出来ません。とりあえず電話口でセルが回るのか音を聞かせてもらいましたが「カチカチっ、カチカチっ」というだけでエンジンが掛かる様子はありません。

こういう場合は大体バッテリーあがりだと判断しますが、対応出来ないのでロードサービスを依頼して追い出す事にしました。


当日夕方バッテリーを交換する事になりますが、前日まで普通にエンジンが掛かっていたバッテリーがいきなりダメになった原因を探る必要があります。


エラー履歴を拾ってみるとたくさん残っています


直接関係ありそうなエラーはこのあたりでしょうか?

9E0000(158 0) バッテリー高電圧異常
FB0002(251 2) エンジン制御モジュール電源供給不良


エラーコードは確認出来ても原因を深掘りする事は出来ませんので、とりあえずバッテリーを交換しました。


ケースが膨らんでいますので、バッテリー液がかなり高温になったのがわかります

ターミナルも緑青(ろくしょう)が吹いています。手前のキャップが湿っていますので、バッテリー液が吹いたのが想像できますね


交換後のデータを確認してみました

エンジン稼働中もチャージ電圧は普通でオーバーチャージの様子はありません

エラー履歴を消去してバッテリー交換作業は終了になりました



おまけ

この車両は新車時からバッテリーの交換履歴が無く、4年を超える使用でしたので寿命だったのかも知れませんね。

 あるセルの液は茶色に濁っており・・・



こちらは液が無く 極板が露出してます


結果としてバッテリー不良(寿命)の為 高電圧異常のエラーを拾ったのかも知れません

バッテリーの状態を含む日常点検の実施はドライバーの責任ですが、トラックのように見づらい場所にあると 日常的なバッテリー液の点検は無理だと思います。

前職で扱っていたバスではバッテリーがトレイに載って格納されており、点検時に引きずり出して液量等の点検が出来るようになっていました。トラックもせめて横並びに搭載されていれば 液量の点検が容易になるんですけどねぇ

2022年10月4日火曜日

Kumayarouの素顔


さて何の整備をしているのでしょうか?



 もうこんな作業をする機会はありませんが、キャンター4P10のヘッドは実際見てみたいものです

ストップランプスイッチの交換 デュトロルートバン

前回の続きです

スイッチが入荷しましたので早々に交換作業に取り掛かります


この車のスイッチはプラスチックで出来ており初めてみるタイプです。
スイッチを頼んだらカラーも付いてきたので、おそらく再使用不可なのでしょう


交換手順他、取り付け基準などまったくわかりませんのでディーラー工場に問い合わせするも、休みで困ってしまいました。

しばらくあれこれやっているうちに、結局ひねれば簡単に脱着できることがわかりました。


カラーを交換するために外そうとしましたがうまく外れません

バラバラにしてやっと外すことができました。確かに再使用不可ですね


取り付け状態の様子です

カラーをはめてスイッチの高さを確認し ひねるだけです

取り付け前に本体カプラに差し作動の確認したのは言うまでもありません。ABSランプも消えストップランプも点灯してます


スキャナにて故障履歴を消去し作動状態を確認してみました

ブレーキペダル放した状態


ブレーキペダル踏んだ状態


 マスターシリンダーの各数値も拾っているのでセンサー類も正常と判断できますね

整備基準は不明ですがこれできまりのようです


蛇足ですが前回の点検内容を貼っておきますのでご参考にどうぞ

ドライバー ときどき整備士: ABSランプ点灯 点検編 デュトロルートバン (kumayarou.blogspot.com)


デュトロにスキャナをつなぐのは初めてでしたが、スキャナが日本語対応ではないので この車種にたどり着くのに時間が掛かったところではあります。


経験や勘に頼る整備の時代はもう昔の事になってしまいましたね。新しい技術を理解・吸収するには 私は歳を取りすぎたようです・・・

2022年10月2日日曜日

ABSランプ点灯 点検編 デュトロルートバン

今回は珍しいABSチェックランプの点灯・点検です

ドライバーさんからABSランプ点いたと連絡を受け、ブレーキが効かなくなるわけじゃないと伝え入庫後点検しました。

確かにエンジンを掛け直してもチェックランプは消えません


で、経験上4輪いずれかのABSセンサーの断線を疑うわけですが、部品を注文するにも不良個所を断定しなければなりません。

そこでいつもの中華スキャナ登場です


エラーコードを確認すると写真のような現在故障を拾いました

P0504 ストップランプスイッチ不良 だそうです


ライブデータでもスイッチがONになりません


当然ですがストップランプも点灯してません

ABSセンサー関係のエラーでもう一つ確認しましたが、こちらはちょっと手が付けられなさそうなので、とりあえずストップスイッチを交換し様子を見る予定です。

C1422 マスターシリンダー圧力センサー不良


 センサー類が多用されている今の車は故障原因が複雑に影響しあっているので、ピンポイントで原因にたどり着くには手間が掛かりますね。

ディーラーの点検料が高いのも納得です・・・

つづく

2022年9月20日火曜日

ACコンプレッサーの交換 スバル サンバーバン

夏も終わったというのに・・・またクーラーネタです

右の白いサンバー 夏前からクーラーが効かずドライバーさんには暑い思いをさせてしまいましたが、今回同型車が廃車になるのを機にクーラー修理をしました。

症状は冷たい風が出てこないとのことでした。

先ずはゲージをつないで圧を確認しましたが漏れは無さそうです。というか、マグネットクラッチ(以下M/C)が入らず低圧と高圧がバランスしています。調べてみるとM/Cまでは電気が来ていますが励磁していません。コイルの導通を調べてみるとどうやら内部で断線しているようです。

と、ここまでは夏前にわかっていたことでしたが、サービスカーに多額の修理代は掛けられません。そこで今回、同型車の廃車がでたので思い切ってACコンプレッサー交換を実施しました。

ドナー車(左)と修理待ちのサンバー


サンバーはリヤエンジンの為、荷室の点検蓋を開けてエンジンルームにアクセスします。リヤエンジンなんて まるでバスみたいですね。重量配分はどうなっているのでしょうか?


コンプレッサーはオルタネータの前側にあります。

ベルト1本でオルタネータまで駆動しているので、コンプレッサーのM/Cベアリングが焼き付いてもクーラーベルトを外して走らせる荒技が出来ません。ちなみにキャンターの4P10エンジンも同様です。


ベルトを緩めるときに気が付いたのですが、ベルト調整のテンショナー(調整ボルト)がありません。ベルトを張る時にはオルタネータを張る方向に寄せながら固定ボルトを締め付ける事になります。


外れたコンプレッサー(右)とドナー車外しのコンプレッサー(左)

外して分かったのですが、M/Cのベアリングにゴロもでていましたので丁度良い機会だったのかもしれませんね。しかしドナー車のオイル滲みも気になるところではありますが・・・


コンプレッサーの脱着自体はスムーズに出来ましたので、ドナー車に不良コンプレッサーを戻すあいだに真空引きをしています。当日は雨でしたので充分引いてやりました。


真空ポンプを止めてゲージが上がらないのを確認した後ガスチャージします。

で、お約束のサービス缶 熱湯投入で規定量きっちりガスを入れました。


 あとは試運転がてら燃料を入れに行き、冷え具合を確認しての作業終了になりました。

その後ドナー車はドナドナされて行くのでした。

2022年8月12日金曜日

エンジンシステムアラーム 故障コードの探究 520500-0

エンジンシステムアラーム点灯で修理予定の車両ですが、興味深い資料を見つけたので少し掘り下げてみたいと思います。

故障コード
SPN-520500  FMI-0

こちらは例のマルチインフォメーションディスプレイで拾った故障コードです。
故障コードの内容はググれば大体の見当はつくのですが、さて対応策はというと なかなかたどり着かないものです。

で、たまたま目にしたのがこの資料です。


 どうでしょう?ダメ元で点検できる簡単な項目もいくつかありそうですね。

野良整備では限界がありますが、これらのトラブルシュートは機会があったら検証してみたいと思います。

2022年8月8日月曜日

コンデンサーモーター オーバーホール キャンター


今回は前回外れたコンデンサーモーターのオーバーホールです。

あらかじめ分解・清掃し必要な部品をそろえましたが、ブラシも純正部品の設定が無くネット通販にてちょうど良い物をさがしました。


先ずはゴロの出ていたベアリングの交換です。

後でゼット(オイルシール)を外しバラしてみましたが、水が入った様でグリスが白濁していました。冷房シーズンイン点検時とシーズン中にはコンデンサーを水洗いしていますが、程ほどにしたほうが良いみたいですね。


新しいベアリングを圧入します。

コンミュテータは後ほど清掃しますが、ベアリングを入れる前にやればよかったと後で気がつきました。


今回はペーパーでヤスって磨きましたが、ベアリングを入れる前にシャフトをドリルでくわえ、回転させながら磨けば写真よりもきれいに仕上がります。


ブラシのサイズで探すとリード線の出る向きの合うものが無く、これでもなんとか納まるのでこれで組上げていきます。


リード線でブラシを圧縮しながら固定しアーマチュアを挿入します。



あとはケースを元どおりにかぶせ、数か所カシメてやれば完成です。


動作テストしてみました。

バッテリーにつないだ状態で無負荷では約1A流れてますが、ファンが付いてエンジン稼働状態(13.8V)ならもう少し電流値が上がるのかも知れません。ちなみに突入電流はメーター読みで約4Aくらいでした。


実は前職でセルモーターのオーバーホールはある時期毎日やってましたので、これくらいのオーバーホールなら今の作業環境でもなんとかこなす事ができました。

部品代もわずかなので、手間さえ惜しまなければオーバーホールに挑戦してみるのも車の理解を深めるのに役立つかもしれませんね。

たとえ壊れても、これで路上故障し運行がストップする事はありませんので・・・


おまけ

デュトロで外れたコンデンサーモーター




 こちらも部品がそろえばオーバーホールの様子をお知らせしたいと思います。

2022年8月7日日曜日

エンジンシステムアラーム点灯 エンジンストール キャンター


高速走行中、エンコ(エンジン故障)は突然起きました。

ドライバーさんから連絡を受け、とりあえずかけ直せば走れるとの事で下道(一般道)で車庫まで帰ってもらうよう伝えました。
入庫後ダイアグを確認したところライン圧低圧異状の履歴が残っており、何らかの原因で燃料が供給されなかったようです。

上の写真はフューエルポンプのフューズを抜き故意に症状を再現させたものです。


マルチインフォメーションディスプレイでの故障表示です。

故障コードは確認できますが、内容は検索して確認する事になります。


で、いつもの中華スキャナーの登場です。

現在故障 520500

レール圧が低く、高圧系統の漏れチェック等が読み取れます。


これ以上は素人整備ではどうする事も出来ませんので、履歴を消去しました。


一応ライブデータを確認してみました。

サービスデータが無いので、この数値が正常なのかはわかりません。

後にこの車両、ふそうにてサプライポンプを交換してもらう事になります。


実はこの車両と同年同型車が同様の故障で、サプライポンプとコモンレールを交換してますが、4P10エンジンは40万キロ辺りから不具合が出る様ですね。

他にも1台、高速で路上故障してますので、使用者責任とはいえ いかがなものかと思います。