2021年11月25日木曜日

セルモーターの交換 キャンター

 最近ドライバー職のほうがいそがしいので、ときどき整備やってます。


先日1か月自主点検時の事です。

エンジン始動時の ” 音 ” に違和感があり、セルモーターがそろそろかと思っていたら後日ドライバーさんから「エンジンの掛かりが悪い」と申告がありました。修理屋さんに作業依頼しようと思っていたところ思いがけずに廃車がでたので、今回こちらのドナー車とのスワップ作業になります。


取付部分です。

エンジンの後ろ、クラッチハウジングの前下側についてますが、いかにもやりずらそうな場所についてますね。



下からのぞいたところです。

セル本体の取り付けはボルト3本で留まってますが、これが実にやりずらい場所にあります。


まずはセルのB端子とスターター端子から外します。

作業前にバッテリーターミナルを外しておくのは言うまでもありませんが、このキャンター、バッテリー2個搭載の12ボルト仕様ですので注意が必要です。


上から2本、下から1本外しますがこれが固く締まっており、緩めるだけで結構手間がかかってしまいました。思うように工具が入らずこの時ほど ”BANZAI" や ”TONE" で限界を感じたことはありません。

悪戦苦闘の末どうにか外すことができましたので、取り付け前に外れたセルモーターと見比べてみました。

同年同型車のものですが微妙に違いがあります。わかりますか?


取付前にフライホイールリングギヤの当たり具合を確認(後述)してからの取り付けになります。


狭い取り付け場所から引きずりだすのも大変でしたが、取り付けはもっと大変な作業になりましたがなんとか交換作業も終わり、エンジンの始動具合を確認しての作業の終了となりました。

今回ドナー車から外したセルモーターは最近リビルト品と交換したばかりで、エンゲージ(プルインコイル)の少し長い物が付いていました。このせいで故障車への取り付けがやりずらかったわけです。

稀なケースですが、リングギヤが欠けて、セルが飛び込んでもクランキングできない場合がありますので、セルを外した時にチェックしておきたいポイントではあります。

2021年10月3日日曜日

クーラーコンデンサーの交換 キャンター

 10月だというのにまだ日中は暑い日が続きますね

今回はキャンターのコンデンサー交換のお話です。

先日ドライバーさんからクーラーが冷えないとの事で点検したところ、たしかに冷たい風が出てきません。コンデンサーファンは回っていましたのでコンプレッサー・マグネットクラッチ他点検したところ、コンデンサーの一部にオイル汚れのようなものが・・・



どうやらコアが腐食してガス漏れをおこしている様です。

部品を手配し、とりあえずガスを補充して追い出しましたが3日持ちませんでした。


後日部品がきましたので早速交換作業にかかりました。

ガスは抜けきってましたのでそのまま取り外し作業にかかります。

コンデンサーが脱着しやすいようにバンパーを外してます。

ブルーテックはコンデンサーユニットへのアクセスが良いので作業が捗りますね。レシーバーを外せばユニットはボルト4本で落とす事が出来ます。



外れたコンデンサーと新品です。ファンモーターユニットを付け替えてシャシに戻せば脱着は完了です。前回のデュトロに比べれば特にやりずらい個所はありませんでした。

後は充分真空引きをしてガスを規定量入れれば作業は終わりになります。


余談になりますが、作業日は気温が低くガスが入りにくかったので、サービス缶を熱湯風呂につけてチャージしたのはここだけの話です。


外れたコンデンサーの漏れの個所です。


見たところ飛び石等の損傷は無さそうですが、廃車まで壊れるところではないのでハズレくじを引いてしまったのかも知れませんね。

2021年9月5日日曜日

燃料ポンプの交換 キャンター

路上故障はいきなり来ます・・・

雨降りのなかエンジンがかからないと連絡があり様子を聞いてみると、ドライバーでは対応でき無さそうなので出張修理にでかけることになりました。

現着でまず確認したのがECU系のフューズです。ドライバーから「セルは回るがかからない」と聞いてましたので、燃料系統のフューズ切れぐらいに考えていました。

各フューズは切れていませんでしたが、セルは勢いよく回るものの初爆がありません。どうやら燃料が来ていないようです。ダメ元で燃料タンクを殴る蹴るしたところフューエルモーターの音がし、エンジンを掛ける事ができました。結局燃料ポンプ不良のようですので部品を発注し後日交換修理になります。


で、燃料ポンプがきました。

ゲージユニットと一体になっています。
キャンターは燃料系統を切っても(ガス欠・フィルター交換等)エア抜きの必要がありません。プライミングポンプをもまないでいいので、これはこれで便利かも知れませんね。



フロートのレジスター部分です。

ゲージの指針不良でもポンプAssy交換になるので割高感はありますが・・・


中に見えるのがポンプ部分です。

燃料が軽油なのでモーターの端子部分はむき出しです。大胆ですね


交換作業の様子です。

燃料パイプと配線コネクタを外せば簡単に交換できそうですが、予想もしない作業が発生したのでした。


燃料パイプの取り付け部分です。

今のトラックはほとんどクイックカプラでの接合になっている様です。ここから外せば大仕事にならなそうですが、泥汚れでカプラが外せません。仕方がないのでシャシ側の部分で切ることにしました。


ここで問題発生!

ユニットが出てきません!!

あまりのガタイのよさで床下面までの隙間をかわす事が出来ません。この時ばかりはよほど修理屋さんに投げようと思いましたが、思い直して作業を続けます。



燃料タンク外しました!

燃料が半分以下で良かったとつくずく思ったのは言うまでもありません(笑い)
このキャンターの燃料タンクはバンドで留まっているだけなので、バンドを外せば手前に引きずり出すことが出来ます。


例のカプラ部分です。

シャシ側のカプラと一緒なのでリリースのツメを探りますが汚れで分かりません。


パーツクリーナーで清掃すると白いツメ?が現れました。これを押し込んでやると中のツメが解放されカプラを引き抜くことが出来ます。初見では分からない部分ですね。


ついでにタンクの中をのぞいてみました。意味はありません


ユニットの取り付けです。

フロートをいじめないように沈めていきますが、底に着くと上蓋が浮いてしまいます。ここは上から押し付けて位置決めしてから固定リングをズレないように取り付けます。上からでも結構やりずらい作業ではあります。


結局今回のように、燃料タンクを外して上から脱着しないとやりずらい作業のようです。
あとは元どおりに収めて試運転後の完成となりました。

ちなみにディーラーの部品屋さんに聞いたところ、ハーネスも一緒に交換するのが好ましいとの事でしたが、コネクター・端子部分が焼けてなかったので今回は交換していません。常に在庫を持っているそうなので、きっとメジャーな故障なのかも知れませんね。

今後類似の故障が来たら、まず燃料タンクを蹴飛ばせと伝えましょう(笑い)
 

2021年8月21日土曜日

廃棄バッテリーの活用について


結構夏でもバッテリー上がりは起こりますが、充電しても比重が上がらず廃棄するものが出たので、今回はその廃棄予定のバッテリーを活用してみたお話です。



いきなりタイヤチェーンの写真が出てきましたが、涼しくなったら修理(クロスチェーン交換等)するためにしばらく放置していた物になります。

屋外に捨てるように置いていたのでサビで真っ赤になっていますね。これをバッテリーの廃液できれいにしたいと思います。


チェーンがバッテリー液に浸るくらいの適当な入れ物に漬け込んで、少し置くと・・・

軽くすすぐだけできれいにサビが落ちていきます。ブラシでこすればもっときれいになったはずですが、目に沁みるので適当なところで引き揚げます。


水で十分流したあと防錆剤をたっぷり吹きかけて清掃完了です。

大した労力も使わずきれいになりました。
あとは広げてクロスチェーンを点検し、摩耗している部分があれば交換する事になります。



使用後の廃液はフタ付きの容器に入れ、また次回の清掃に使用します。

言うまでもありませんが、決してその辺にぶちまける様な事をしてはいけませんよ。



おまけ

バッテリーケースを半分に切ってみました。
構造がよくわかりますね。これをドライバー教育用に活用したいと思います。

バッテリーの液量などは日常点検時にドライバーが行うものですが、トラックの場合バッテリーが収まっている場所はシャシの外側・荷台の下で、24V仕様車は当然ですが2個縦向きについています。これでは奥側のセルの液量など点検できませんので、便宜上手前の液量だけは確認するよう指導しております。


暑い時期でもバッテリー管理を怠ると直接路上故障になりますので、日頃の点検はやはり大事ですね。




 

2021年8月9日月曜日

おまけ ブロアファンモーターの分解と考察

前回クーラーの風量が出ないとの事で、交換したブロアモーターをバラしました。

本来Assy交換になりますので、壊すつもりで分解していきます。

写真の上部がシロッコファンで下部がモーターユニットになります。赤い矢印部分にツメが4カ所あり、これを広げれば上下に分解できます。


シロッコファンが外れれば作業しやすいのですが、ファンを留めているナットがどうにも外れません。そこで無理やり爪を広げますが、適正な工具を使わなければケガの原因になるので注意が必要です。


分解できました。

ファンも外れればもっとバラせたはずです。



赤い矢印がブラシホルダー部分で黄色い矢印がブラシの残りです。ブラシが半分以上減ると寿命のようですね。


下の写真では赤い矢印がコンミテーターの摩耗部分です。黄色い矢印が精密ドライバーの先(2mm)ですので、約1mm弱摩耗している事になります。

仮にコンミテーターを研磨して新品のブラシを組んでも長持ちしなさそうです。


 私が前職でセルモーターのオーバーホールをしていた時は、状態によってはコンミテーターの研磨等(使用限度にもよりますが)再使用できるパーツは再生し組上げていました。

トラックの部品などはリビルトパーツにも限りがありますが、このようなファンモーターなどは廃車まで壊れることが無い場所なのかも知れません。

またベアリング等消耗品パーツ代と私の作業工賃を考えると、保証付きの新品Assyを購入したほうが結局安上がりになるのかも知れませんね。

クーラーコンデンサーの交換 デュトロルートバン

前回ガスの補充だけで追い出したデュトロですが、部品が来たので交換作業に取り掛かりました。じつはこのコンデンサー、日野に問い合わせしたところ在庫が無くバックオーダー1か月になるそうでしたがそんなには待てません。こちらでも修理屋さんに探してもらい ” ダイナ ” 用の互換品を手に入れる事がました。

デュトロの場合、目指すコンデンサーは右ヘッドライトの奥にありますので、コンデンサーにアクセスするにはグリルとヘッドライト・バンパーを外しての作業になります。


で、いつものとおり、いきなり途中の写真から始まります。

いつものように設備も無い野良整備ですが、雨が降る予報でしたので屋根下を確保しての作業です。通行人の視線が痛い・・・


コンデンサーが外れました。最初はユニットだけ外すつもりでバラしていきましたが、後の作業性を考えフレームごとおろす事になります。


バラバラになりました。

もしコンデンサーファンモーターを交換する場合、冷媒回路を切り離さず出来るのでしょうか?今から考えたくはないのですが、きっと大変な作業になるはずです。


外れたコンデンサーです。

今回のガス漏れの原因がこれかというと微妙な汚れ具合です。

スニソ(コンプレッサーオイル)も垂れるほど漏ってはいないので、組付け時には気休め程度にスニソを補充して組上げました。


湿気が多いので真空引きはいつもより長く引っぱってます。

ゲージにて負圧が戻らないのを確認した後、ガスの充てんになります。


外気温が高いわりにガスが入っていきません。サービス缶も冷たくなって霜が付いています。

そこで・・・


いつものサービス缶温め作戦です。

今日はポットのお湯で熱湯風呂につけてみました。


 ガスが規定量入ったところで冷え具合の確認です。

ガスが規定量入っているにも関わらず、サイトグラスを覗くと白濁が消えません。ゲージ圧はLoが3キロ、Hiが20キロ(アイドリング時)です。吹き出し口の温度を測ってみましたが外気温35℃で吹き出し温度(外気導入)が約20℃でした。体感的には十分涼しいのですがこんなものでしょうか?

コンデンサーファンは一生懸命回ってますので、走行中はもっと冷やされるのかもしれません。試しにコンデンサーに水をかけたところサイトグラスの白濁も消え、より冷たい風が出てくるようになりました。

車庫までの回送・試運転で十分冷えるのを確認し、作業の終了となりました。


いつものお約束ですが、このブログを参考にされ真似される方は、くれぐれも自己責任で作業を行ってくださいね。

2021年7月29日木曜日

冷房(エアコン)ブロアモーターの交換の巻 ブルーテックキャンター

冷房ネタが多いですが、今回はブルーテックキャンターのブロアモーター交換です。


そろそろ ”ブルーテックキャンター” と紹介しなくていいかもしれませんね。

症状としては風量ダイヤルを最大にしても弱い風しか出てこず、時々無風になる事もあったそうです。
点検したところやはり弱い風しか出てきませんが、エアコンの操作パネルの下側をたたいてやると風が強くなります。ちょうどヒーター(エアコン)ユニットのあたりですね。

ブロアモーターのブラシが減っているのは間違い無さそうなので部品をオーダーし、作業に備え部品構成図を取り寄せました。

ちなみに風量全開で調節が効かない場合はブロアレジスターがあやしいです。



作業の様子です。

まずはパネルを外しヒーターユニットにアクセスします。


この辺までは説明はいらないでしょう


目指すブロアモーターです。

手前にあるジャンクションボックスは邪魔になるので外してあります。



モーターの取り付けはビス3本で留まっているだけですが、手前にも横にも引きずり出すスペースがありません。大掛かりにバラさなくて済むよう簡単な方法を探ります。

そこでチェンジレバーのセレクト側のロッドを外し、モーターが出る通り道を確保してやりました。


外れたモーターAssyと新品です。シャシナンバーでオーダーしているので間違いはないのですが、一応比べて確認します。

モーターを取り付け、配線をつないだところで作動の確認をし、あとは逆の手順で収めて完成になりました。


この車に関しては決まったドライバーが専属(担当車)で乗っており、このドライバーさん熱がりの為、いつもクーラー全開にして運転してたそうです。そのせいで他の車より早くブロアモーターがイカレたのでしょう。

今回のブルーテックは初めて作業しましたが、FE70系(先代ジェネレーションキャンター)よりは作業性を考慮したレイアウトになっていると思いました。興味があればこちらも参照してください。

2021年7月27日火曜日

エンジンチェックアラームの対応 ブルーテックキャンター

キャンターといえば頻繁にエンジンチェックアラーム(以下チェックランプ)が点灯するイメージですが、今回の車も出先でチェックランプが3つ点灯し、帰庫途中で営業所近くのいつもお世話になっている修理工場にて点検してもらいました。

主な内容は ”Noxセンサー” ”ラムダセンサー(O2センサー)”というエラーです。いつもはエラーリセットしてもらって様子を見るのが常ですが、今回はエラーを拾っているセンサーを外して状態を確認してみました。


まずはNoxセンサーです。

位置は写真のとおり、SCRの後ろ側にあります。最終的に浄化された排気ガス中のNox量を検知するセンサーですね。


外れたNoxセンサーです。

参考までに、外してみるだけならハーネスクランプ・コネクターを外さなくても確認は出来ます。


拡大してみました。

当然ですが期待するほど汚れていません。むしろきれいです。

本来各センサー類は清掃不可ですが、パーツクリーナーで穴の中めがけたっぷり吹きかけました。


次はラムダセンサーです。こちらはエキマニを出てすぐ、エキゾーストシャッターの出口側にあります。

ちなみにエキゾーストシャッターは排気ブレーキ作動時のみならず、DPF自動再生中ほか常に作動していますので、こちらもDPF関係の不具合に絡んでくる個所だそうです。


外れました。


カーボンがびっしり付着しています。

生の排気ガスを直接浴びる場所ですので汚れやすい場所なのかもしれません。言うまでもありませんがこれも清掃不可です。しかし簡単に確認は出来ますので気休めに清掃してみるのも一つの方法かと。


こちらもパーツクリーナーの噴射圧でカーボンを飛ばしてやりました。


どうでしょうか?
見た目はきれいになりましたが、サービスデータが無いのでこれ以上の事はできません。

再度チェックランプが点灯すれば今度は該当部品の交換になります。それまではしばらく泳がせて(運行させて)様子を見る事にします。

うちでもスキャナーがあればライブデータが確認できるのに・・・と、夢みたいな事をいつも思っています(笑い)