2020年10月18日日曜日

ヒーターが効かない時のトラブルシュートについて(日野デュトロ編)

 あっという間に朝晩ヒーターをかけるほど寒くなって来ましたが、こんなトラブルが発生しましたので点検と修理内容を紹介します。

毎朝車庫まで一緒に出掛けているドライバーさんとの会話で「最近寒くなって来たけどぜんぜんヒーターが効かないんだよね」との事で「夕方帰庫したら確認させてくださいな」とその場では答えておきましたがさて、エンジンがあったまっていてヒーターが効かない?大仕事になりそうな予感を抱きつつ、その日は配送中もその事ばかり考えていました。

夕方になり車両を確認してみると確かにエンジンは温まっていますが、温度調整ダイヤルを高温側に回しても冷たい風しか出てきません。まずはコントロールケーブルが外れていないかだけ点検しましたが外れてなく、リンク関係はスムーズに動いています。いよいよ大仕事になるかと思い「今日は時間切れなので宿題にしておいてください」と伝え、後日修理することになりました。


あまりこういう作業はしたくないのですが(当日中に完成出来ないと翌日代車がないので)修理屋さんに預けても配車に穴が開きますので、できる事だけ手を付けます。

まずはヒーターの温水回路に詰まりがないかの確認です。デュトロはフロントグリルを外すと正面に温水パイプが見えますので、触って温度差がないか確認しました。


いきなり大当たり(?)です。ヒーターコアの入口側と出口側で明らかに温度差があります。ていうか、出口側はまるで冷たいままで一瞬コア交換か?と思ってしまいました。




ホースを外しかけると気泡混じりの冷却水がの勢いよく吹き出してきましたが、これについては後述します。

さてヒーターホースを外しコアを高圧洗浄したいのですが、そんな設備道具などはありません。

そこで・・・

ヒーターコア入口側に直接水道からのホースをつなぎ勢いよく水を流しました。しかしコアが詰まっている様子はありません。それではコア出入口の温度差はなぜだったのでしょうか?

とりあえず原因もつかめないまま元どおり組み上げ冷却水を入れ十分エア抜きをしましたが、なかなかエアが抜けないのと、いつまでも気泡混じりの冷却水が循環しているのが気になります。


リザーブタンクにも冷却水を忘れず補給しておきます。ちなみにデュトロルートバンは運転席後ろに点検窓がありますが、右側にスライドドアがないと点検しずらい場所ではあります。トヨタ系のLLCは赤色ですが緑色のLLCを混ぜても問題ありません。(色は汚らしくなりますが・・・)

最後に十分エンジンを温めヒーターをかけると熱風が出るようになりました。これでドライバーさんも早朝から寒い思いをしなくて済むでしょう。


さて冷却水に気泡が混ざりホースを切る(外す)時勢いよく吹き出してきたのは、実はリザーブタンクが空だったのと冷却水不足によりヒーター回路にエアが混入し、そのためヒーターコアまで冷却水が循環していなかったのではないかと思われます。もしかしたらどこかで水漏れがあるか、ヘッドガスケットが抜けて吹き返していたのかもしれません。この車両に関しては経過を見守る必要がありそうです。

やはり毎日の日常点検、特にオイルと冷却水の点検は重要ですね

おわり

2020年9月24日木曜日

クーラーコンデンサーモーターの交換 (コンプレッサー交換の巻) ジェネレーションキャンター編

 前回の続きです。

そういえばドナー車のコンプレッサーきれいだったなあ、と思いつつ修理車のコンプレッサーをながめていると見つけてしまいました。


マグネットクラッチあたりに金属粉が・・・

クーラーベルトを外しプーリーをまわしてみたところやはりベアリングがダメになっており、空回ししてもゴロゴロしてスムーズにまわりません。このままではそのうちにベアリングがバラバラになり焼きついてしまいます。

見てしまったものはしょうがありません。ついでにコンプレッサーも交換することになりました。実はキャンターのコンプレッサーは何台か交換してますので、今回のコンデンサー脱着に比べたら慣れたものです。

真空引きをし少し冷媒ガスを入れ漏れを確認した後、規定量のガスを入れ完成となりました。


おまけ

外気温があまり高くない時は冷媒ガスがなかなか入りませんが、バケツに熱湯を張りそこにサービス缶(ガスボンベ)を入れてあげるとたっぷり入りますのでご参考までに。(あまりおすすめはしませんが・・・)

おわり  

2020年9月21日月曜日

クーラーコンデンサーモーターの交換 ジェネレーションキャンター編

 夏も終わりだというのに・・・

ドライバーさんが、クーラーからぬるい風しか出ないとの事でディーラーにて点検してもらったところ、コンデンサーファンが回っていないのでモーターの不良と診断されたそうです。

帰庫後症状を確認してみると、とりあえずファンは回っていましたが回転が弱々しい感じです。その場でディーラーに問い合わせたところ部品が納期未定であることと、工賃込々で8万円くらいとの回答でした。

年式と走行距離・修理金額を考えると本社の決裁が下りるとは思えません。ドライバーさんと配車係に泣かれ私も泣く泣く自社修理をする覚悟をしたのでした。

と、前振りはこのくらいにして修理内容の紹介です。


フロントグリルを外すとコンデンサーユニットAssyが見えます。ファンユニットはコンデンサーの上にボルト4本で留まっているだけなので簡単に脱着できそうですが・・・


取り付けボルトがコンデンサー側にスタッドで固定されているため、ナットを外してもスタッド分上に持ち上げなければファンユニットを取り外すことが出来ません。この車の場合上物が邪魔をしてその隙間さえ稼げないので、結局コンデンサーユニットを取り外してのモーター交換になりました。


作業しやすいようにバンパーを外します。パッと見コンデンサーユニットは簡単に脱着できそうですが、後に大変な作業が待っていたのでした。



コンデンサーユニットAssyはボルト4本で留まっていますが、写真のように見えている2本のほかにメーンハーネス下側に隠れて残りの2本があります。このままでは工具が入りませんのでハーネスのクランプを外し、他にもブレーキパイプや低圧ホースなどの取り付けを緩めやっとのことでボルトを外すことができました。

ここまで格闘すること約2時間。メーカーの設計者は修理する時のことまでは、まるで考えていないようなレイアウトです。

今から取り付け時の大変さに思いやられます。


コンデンサーユニットが外れたところです。切り離したパイプの取り付け部分にほこりが入らないよう塞いでやります。

冷房修理で冷媒回路を切る時は本来なら冷媒ガスの回収が必要になりますが、そんな高価な装置はありませんので(以下省略)

例によって今回もドナー車からの部品はぎ取りで賄っています。


組み上げる前にモーターが回るか現車につないで確認をしました。組み上げて作動しなかったら悲しすぎますので・・・
ちなみにコンデンサーファンの点検はエンジンを掛けなくても動作確認ができますが、電源かモーター不良かを見極めるのにはやはり難しいものがあります。

あとは元どおりに組み上げてガスを入れれば完成ですが、真空引きをしている間ふと思うことがあり作業を中断してしまいました。

つづく

2020年9月6日日曜日

エアコン吹き出し口切替不良の修理 ブルーテックキャンター

 9月になってもまだまだ暑い日が続いてますが、タイトルのとおり何台か出ている不具合と修理について紹介します。

症状はエアコンの風を全開にしても風量が弱く冷えないとの事でした。

現車を確認してみると、吹き出し口の切替ダイヤルが正面の吹き出し口の位置までまわりません。ユニットのダンパーが引っかかっているか、コントロールケーブルの動きが渋いのか、とりあえず簡単に点検できる個所から確認していきます。

先ずはセンターコンソール辺りをバラしてエアコンの操作パネル辺りがどういう状態か確認します。


とても簡単に点検できる場所じゃないですね


写真では分かりずらいですが、ダンパーのコントロールケーブルが”くの字”に曲がっていました。原因はこのケーブルの折れ曲がりの為、ダンパーを切替切れなかったと思われます。この状態での修正(ケーブル曲げ伸ばし)は作業スペースが狭く困難ですので、操作パネルをバラし作業性をよくしてやります。

風量切替スイッチの両脇4か所のビスを外し、上下6か所のツメで止まっている部分を広げて
ダイヤル部分を外します。



ダイヤル部分が外れると基板が出てきますが固定はされておらず、尚且つプッシュスイッチのリターンスプリング(4本)が抜け落ちてしまいますので注意が必要です。


操作パネルを裏から見たところです。


白いカム(のようなもの)にケーブルの先端がはまっているだけです。この状態でもケーブルを修正することはできないので、カムを外しケーブルをフリーにして作業性をよくしてやります。


ケーブルの曲がりを伸ばしペンチでつまんで切替具合を確認しました。特に摺動も渋くはなかったのですが、気休めにケーブルにシリコンスプレーを吹いておきました。


あとは元どおりに収め完成となります。また同じ個所でケーブルが曲がってしまいそうですが、ケーブルの取り回しに無理があるのかもしれません。

初めての作業でしたのでたっぷり2時間以上かかってしまいましたが、もしケーブルの交換が必要ならかなり大変な作業になるはずです。そうなる(壊される)前に、ドライバーさんからの情報収集も欠かせませんね。


おまけ

たまにはエアコンフィルターの掃除で涼しさアップ!!

これじゃあエバポを抜ける風も半減してしまいます。


ちなみにフィルターの場所は助手席前のパネルを外すと簡単にアクセスできます。(いすゞは面倒ですが・・)



2020年7月5日日曜日

ブロアレジスターの交換

車も年数が経つといろいろなところに不具合が出てきます。特に廃車が決まった車に関しては不思議と大きい故障に見舞われることが多々あるものです。今回はジェネレーションキャンター・平成17年車の冷房修理ですが、例によってドライバーさんから「クーラーの風が全開しか出なくて、うるさくてしょうがないよ~」と。たしかに風量4だとラジオも聞けませんね。

経験上風量の調節が効かない場合ブロアレジスターがあやしいと思っていますが、今回ここにたどり着くまでにはまわり道をしてしまいました。



いきなりですが、助手席前のパネルをはずすと正面にブロアユニットがあります。キャンターのブロアレジスターはユニットの奥側(車両前方)にありユニットを引きずり出さないとたどり着けません。写真ではユニットを外しやすいようにウォッシャータンクを外しています。



吹き出し口切替のケーブルも外しやっとユニットが出てきました。コネクターが刺さっていた個所がレジスターです。



外れたレジスターを見るとなにやら腐食のような個所があります。


交換品との比較です。写真左が不良と思われるレジスターで腐食個所を磨いてみると、右の交換品に比べハンダが溶けてなくなっているのがわかります。温度フューズの役割をしているのでしょうか?過電流でダメになったとすれば何か原因があるはずです。


原因がつかめないままですが、ついでにブロアユニットもAssyで交換することにしました。左がドナー車から外した同ユニットです。


レジスターをつないでテストしたところ作動良好でしたので、これで元どおりに収めて完成です。

ちょっと(かなりでしたが)寄り道

ブロアユニットを脱着するのはかなりの手間になると思い、先ずはファンスイッチを交換しようとバラしたところです。実はスイッチパネルを外すだけでも大変な作業になってしまいました。センターコンソールをバラしユニットを引きずり出すためには、クラッチペダル脇のヒーターコントロールケーブルを外さなければ出てきません。


ドナー車からスイッチを借りて交換してみましたが症状は変わらず、やはりレジスターだったかと思った瞬間のガッカリ感は言うまでもありません。



今回はドナー車と2台分の脱着作業になりましたが、完成車に乗務したドライバーさんから「調子よくなったよ!」と言われただけで修理作業の苦労も達成感に変わるのでした。

ちなみに電気回路のトラブルシュートには配線図(回路図)が絶対必要であり、電気の流れを十分理解することが完成への早道だと改めて痛感したところです。





2020年6月22日月曜日

純正フォグランプの取り付け

この度純正タイプのフォグランプ(バンパー付き)が手に入りましたので、取り付けまでを紹介したいと思います。

元々フォグ無し仕様のため、スイッチパネルの裏側までハーネス・コネクターが来ていません。これでは純正スイッチを購入してもフォグランプを点灯させることが出来ません。汎用のハーネスを使用してもよいのですが、電源の取り出しや配線の取り回しを考えると結構な作業になってしまいそうです。そこで車両側の空き回路(オプション未装着)を利用し点灯させる事を考えてみました。

まずは電源の取り出しからです。


助手席前のパネルを外すとSAMコントローラー他車両の電源回路が集約されています。リレーが付いているパネルに数か所空いてる個所がありますので、今回はそこから電源をとりました。


図のようにB15(フューエルヒーター)の個所はこの車両では使用していませんので、ボディ側から来ている電源線を残し、他を切断し各配線とつなぎます。作業後新規にリレーを取り付けるのは言うまでもありません。

リレーボックスを外したところ

ちなみにB15コネクターの各配線の色は以下のとおりです。

電源=赤青
電装品(フォグランプ)=赤
スイッチ信号(スイッチより)=緑黄
アース=黄緑

純正リレーの回路とカプラーのピンアサイン

マニュアルによるとこのリレーはMAX20Aまでですので、フォグ2灯分(55W+55W)なら余裕で点灯出来ます。

フォグランプ回路図



カプラー12C(白)と13C(青)

SAMコントローラーのカプラー12C-6(白赤)と13C-2(白青)がフォグの配線でバンパー裏まで来ていますので、カプラー側で配線をカットしリレーからの赤線をそれぞれつなぎます。


フォグランプカプラー

カプラーからフォグランプ本体、及びスイッチからリレーまでは適当な配線でつなぎ点灯確認をして完成です。

このスイッチは注文から届くまでに3週間ほどかかりましたが、納まりがよくとても満足度の高い仕上がりになりました。さてフォグスイッチの両脇は何のスイッチでしょうか?

フォグスイッチ取り付け(スイッチパネル部分)

今回純正のフォグランプを取り付けましたが、好みで他のランプを取り付けるのも良いかもしれませんね。

最後にお約束です。
この記事を参考にされ同様に作業される場合、資格を持った整備士さんに相談するか必ず自己責任でお願いします。改造が原因による車両の不具合に対し責任は取れませんのであしからず。

2020年6月3日水曜日

ハンドルが切れない?

配車さんから一本の電話
「○○さんが乗ってる○○号、左にハンドルが切れなくなったそうだけどそのまま乗って帰ってきて大丈夫かな?」
それを聞いた私
「○○さんに気を付けて帰ってくるように連絡入れておくので入庫後点検しますよ」と伝え自分も早々に配送を終わらせ車庫に戻りました。

入庫後早速車両を確認すると確かに左だけハンドルが切れません。ドライバーさん曰く「車庫に入る時入口にぶつかるとこだったよ・・・」と、確かにこれでは曲がれません


実は思い当たるところがありキャブを上げてみたところ、やはり「ナックルストッパーボルト」の取付が弛んで飛び出していました。

ナックルストッパーとはハンドルがある角度以上切れないようにする為のストッパーの役割をしています。このボルトが飛び出していた為にハンドルが切れなかったわけです。

ナックルストッパー

ボルトを外してみるとあと2山で脱落するところでした。弛んで振られたせいでボルトのねじ山がやせているのがわかりますでしょうか?このボルトとナットは後日新品に交換する予定ですので今回はこのまま収めます。


ボルトを戻しロックナットをしっかり締めて応急修理完了です。ちなみにハンドルの切れ角(回転数)はハンドルセンターから両方向に2.5回転(ロックtoロックで5回転)ずつになります。


左折時のほうがハンドルをいっぱいまで切る頻度が高いので、よりストッパーボルトがたたかれ徐々に弛んだのかもしれませんね。


実は私の担当車も新車から3か月で弛みがでました。
オイル交換等自分でキャブを上げる機会がある方は弛みの点検も併せてするのが良いと思います。

2020年5月15日金曜日

エアコン不具合の点検について (再修理編)

昨年コンプレッサーのマグネットクラッチに行く配線修理をしましたが、再度断線しているようなので今回は配線を新たに引き直しました。

回路図で電源と信号線の流れを確認します。すべての電装機器はSAMコントローラーを経由しているのが回路図から読み取れます。

クーラー回路図

今回はプレッシャースイッチからマグネットクラッチ間の断線と分かっていますので、プレッシャースイッチの出口側(赤黄)から配線を引き直します。

プレッシャースイッチ

前回修理した個所よりさらにボディ側で断線してましたが、振動で振られる場所ではないのでやはり他に原因がありそうです。そこを修理しても必ず断線すると思ったので今回の配線引き直しに至りました。


結構狭くて作業がやりずらい場所ではあります。オルタネーターやコンプレッサーの交換も大変な作業になるのが想像されますね。(やる機会はないと思いますが・・・)


新線をつないでハーネスにタイラップ止めした後、試運転をして不具合がないのを確認しての完成となりました。


おまけ

SAMコントローラー7Cコネクター(青色)の12番(青赤)にマグネットクラッチ行きの電源が出ていますので、ここでも電源の点検確認は出来そうですね。